
『ハッピールートを終わらせて』のプラチナトロフィーを獲得しました!
(私の中では)衝撃的だったノベルアドベンチャーゲーム「さささぐ」のブランド(ウォーターフェニックス様)から発売された最新作です。

本作も「絶望的な状況の中で抗うキャラクター達の物語」のコンセプトに違わぬ素晴らしい作品でした。 本作は非常にメタ要素をたっぷり活用したノベルアドベンチャーゲームとなっております。ゲームの中の「主人公」である「赤羽氷河」は「選択肢」を見ることができるという斬新な設定です。
アドベンチャーゲームの世界そのものであり赤羽氷河という主人公と氷河を通してプレイする「プレイヤー」で進む残酷な物語です。
氷河、プレイヤーはゲームを進める過程で選択肢に出会うのですがその選択肢はことごとく「いや、そんなことやったら駄目だろ!」みたいな選択肢にすべて書き換えられており、選択肢を選ばれた氷河は感情も衝動も汚染されてしまいその通りに行動してしまいます。

序盤からいきなりヒロインである紙島 亜由乃を偽選択肢によって殺してしまう所から物語が始まります。フルスロットルです…
意味不明な展開から始まりますが絶望しながらも他のヒロイン達の助けを得て偽の選択肢を選ぶことによって起きた結果と原因を突き止めることで偽の選択肢を打ち消すことができることが分かります。そしてプレイヤーの役目は氷河が得た記憶を過去の氷河に託すこと。
協力し合いながら偽の選択肢を打ち消し本来のルートへと進むために絶望を乗り越えていく、そんな物語です。
しかしその絶望度合いが凄まじいです。偽の選択肢を打ち消し亜由乃を殺してしまった現実を回避する…それが一筋縄でありません。偽の選択肢は次々と出てきて打ち消したい偽の選択肢は遠ざかることに加え偽の選択肢を選ぶと本来とは異なる選択肢のため選択肢を選んだ氷河と周囲の人間に汚染と呼ばれる状態が引き起こされます。汚染されたものは思考や感情が正常ではなくなり状況次第で殺しも行うようになります。更に汚染は感染している周囲の人間に感染するという性質まであります。加えて言えば汚染者による殺しはすべて事故として処理されてしまいます…つまり汚染によって犯罪を引き起こしても汚染者の行動が制限されることがないためかなり質が悪いです。

汚染と戦いながらいくつものルートで亜由乃以外のヒロイン達に出会いそれぞれのルートを進めることになりますがまあ凄い。思わず笑ってしまう展開もありますがどのヒロインも容赦なく追い込む様は感涙物です。
とまあゲーム的にはメタ要素満載ですが実際のゲームプレイとしてはオーソドックスなノベルアドベンチャーゲームかと思います。基本的には読み進めるのみです。フローチャートが実装されていてしっかりと氷河が次にどうすればよいのか教えてくれるため何をすれば良いか分からないということはないかと思います。
購入してから夢中で読み進めて体感的には時間かかった感ありましたがプラチナトロフィーまで蓋を開けてみればプレイ時間は約3時間程でした。
フルボイスでなおかつクオリティを考えたらお値段もお手頃なので週末プレイにお勧めです!絶望からのカタルシスを補給したい方はぜひプレイするべきです。
以下プラチナトロフィーについてとネタばれあり感想です。読み進める際はご注意ください。
プラチナトロフィーについて
プラチナトロフィーの獲得は簡単です。より正確に述べると…プラチナトロフィーを獲得することで解放されるチャートも存在しますのでぜひプラチナトロフィー獲得を目指しましょう!
プラチナトロフィーの獲得方法は至ってシンプルでフローチャートを全部埋めて全エンディングを見れば取得可能です。埋めるのも難しくなく選択肢をすべて選べばよいだけです。
ある地点に到達した後に進める分岐のバッドエンドルートが二つほどありますがそこに侵入する方法は直前の選択肢で氷河に選ぶ意味がないと指摘されても真選択肢の方を選べば見れます。
ネタばれあり感想
タイムリープものではありますが、さささぐとは違いこちらは最期まであくまでパラレルワールド方式でしたね。チャートを移動する仕組みに関しては来歌が解説していましたが魂だけが並行世界の垣根を超えることができ「プレイヤー」は「主人公」の魂を移動させることができるというものでした。
しかし魂を移動させたところで分岐した世界は残り続けなかったことにはできない…それでも亜由乃がそして氷河が生きていられる世界を目指す、そんな物語でした。
本作に関してはボリューム面に関してはちょっとあっさりしていた印象はありますね。「亜由乃を殺す」偽選択肢を打ち破ってからが凄まじい絶望をみせてくれるのかとドキドキしていましたがそこまでではありませんでした。
以前の「主人公」が絡んでくるのは概ね予想通り。本筋は並行世界の亜由乃だと思っていましたが思った以上にあっさり?していた…
私の理解度がいまいちなせいもありよく分かっていないところがあります。結局のところ、偽選択肢を作っていたのは並行世界の亜由乃だというのは割と途中から開示されていてその理由が…亜由乃と氷河、両方が生きられるルートがなくなおかつ氷河は亜由乃のために必ず命を落とす選択を取る(あるいは作ってしまう)ため氷河を守るために先に自分が死んでしまうように認識の阻害と改ざんを行い偽選択肢を作ったで合っているのでしょうか?🤔
そもそもとして開示されている「プレイヤー」には並行世界の亜由乃、瑠衣、そして本当のプレイヤー(私達)といて亜由乃が観ていたプレイヤーは元主人公の「天笠 耀」である。天笠 耀は自分の妹(麗羅)を救うためにプレイヤー(亜由乃)の力でやり直しをしていた。まあ実際にはやり直しではないのですが…
クリアしたというのは麗羅が助かるルートに入ったことを言っていて結果的に耀から離れ次は氷河のプレイヤーなったけど今度は氷河が死んでしまうという流れになった…という理解です。瑠衣も瑠衣で氷河のプレイヤーだったようですがその時点では亜由乃によってゲームが改ざんされていないためにフローチャートを構築すなわち攻略メモを残すことができたということでしょうか。もっとも瑠衣は氷河の絶望のルートを見た結果トラウマになり記憶を封印したということかと思います。時系列的には…瑠衣→亜由乃→私達だと思っています。
亜由乃、瑠衣と本当のプレイヤーの違いは3人称視点か1人称視点であること。汚染のことは1人称視点である真のプレイヤー(私達)でないと判別不可能であるため「プレイヤーの亜由乃」は汚染の事は知らなかったために偽選択肢による改ざんの影響を把握できていなかったと思われます。でないと本当に氷河と氷河以外も含めてひたすらに苦しめているだけですし…だからこそ私はこの「プレイヤーの亜由乃」が何らかの理由で氷河や世界を憎んでおりラスボスだと疑っていましたが特にそんなことありませんでした。ごめんなさいです。プラチナトロフィー獲得で見れるおまけを見る限り裏もなさそう…
(一番「もやっ」ているのが麗羅のルートでの偽選択肢の意図が分からないこと…並行世界の亜由乃は偽選択肢でどのようなルート(結末)に向かわせたかったのか…?汚染の事実を知っていると仮定するとなおさら意味不明なのでやはり知らなかったと思うしかない。。。)
理解が合っているかどうかはともかくこういうメタメタな展開はすごくワクワクさせてもらいました!カタルシスを得られて満足です。
すごくどうでもいい感想ですが氷河君(CV: 小林 蓮雄)がすごい熱演で中盤あたりからタイムリープものでもあるせいでシュタゲの岡部倫太郎が喋っているようにしか聴こえなくなった…w