『できない私が、くり返す。』を読了!プレイ後の感想

「できない私が、くり返す。」

できない私が、くり返す。

あかべぇそふとすりぃから発売しているアダルトゲーム。ずっと積んでいましたがクリアしました。

テーマはタイムリープ物。ある時計を使うとまったくのノーリスクで過去に戻れるけど絶対に未来を変えることはできない。

4ルートあり、トゥルーエンドに繋がるルートが1つ。あとクリア後に読めるエピソードが1つ。

この物語の設定における過去改変の概念はいわゆるセワシ君理論。いや、バイツァ・ダスト理論ともいえる。

ある結果へ向かうまでの過程を変えることはできてもその結果自体を覆すことはできないというもの。(起きた事象はどんなに過去改変をしようとも変えられない)

主人公の陸はある人に時計を譲り受け、その力を使い未来(つまり結果)を変えることができないかを試し続けるために旅をしてる変な男。

旅の中で人助けと称し時計の力で結果を変えようとするけど成功した試しはない。

結論だけ書くと、この物語はタイムリープによくある大団円的なグランドエンドはない。シュタゲやサメみたいなカタルシスはないので好みに合わない人はきっと合わない。

これは主人公である陸が限りある時間で生きることの意味、誰かを愛することの意味を最終的に受け入れるまでを描いた作品でした。

前置き自体はこれくらいで物語自体の感想を…

メインヒロインは4人(+α)いてその内3人は所謂、プレイヤーに対し時計を使っても結末は変えられないことを示すと同時に未来の形のあり方は様々あるということを教えるためのルートであると個人的には理解しました。

3人を攻略した後にメインヒロインである詩乃を攻略できるようになる。そのルートからまさに本番と言う感じ。

物語を読んでいると主人公の陸にかなりイラつきます。割と…いやかなり性格に問題があります。人の為とい言いつつその本質は自分が満足したい、納得したいというエゴの塊を持った人間です。時計の力を使い続けるのも言ってしまえば自分の恋の為です。性質が悪いのはそのことに本人は気付いていません。

ヒロインの一人である詩乃がこのことを看破するシーンはこのゲームを諦めず読み続けて良かったと思うゾクッとするシーンです。

詩乃1 詩乃2

弱り、もうその命が風前の灯ながらもせめて陸に一矢報います。

ここまで言われても陸はまだ甘い考えを捨てられずに足掻こうとします。この後の展開はぜひ実際にこのゲームを手に取って確かめて欲しいです。他にはないタイムリープ物の物語として涙腺崩壊です。

ちなみに詩乃以外のヒロインのルートは突っ込みどころ満載です。割と読めるのは藍里のルートです。

未喜とゆめのルートは「そうかな…そうかも…」みたいな感じのルートです。

(ヒロイン自体はどの娘も魅力的です!)

藍里1 藍里2

藍里のルートはスポ根ですが、このルートの陸はまあ割と悪くないです。

藍里のあの独特の喋り方と声がたくさん聴けるのでお勧め。

ゆめ1 美羽1

ゆめルートはあえて言えば百合に挟まる男ルート…

ゆめは時間遡行できる時計のある意味で関係者なので重要なファクターかと思いましたが特にそんなことはありませんでした。

このルートでの問題の解決方法それで良いのか…と思いました。まあアダルトゲームなので…大人の都合ですかね。

未喜ルートですがキャプチャを撮ろうとも思わないくらいつまらないルート。

(未喜というヒロイン自体はとても可愛い)

過保護すぎる兄を持つ妹をメインとしたルートなのですが、それ以上に転居を転々としている主人公が人助けの名目で報酬なしで兄妹が経営するカレー店を手伝うという展開に頭が混乱してそれどころではなかった。あのラーメン漫画のハゲさんではないですが報酬なり給与は仕事に対する責任を明確にする目的もあるはずなので経営者としてその判断はどうなんだと思いました。飲食店だからなおさら…

あと陸が旅してるくせに貯蓄があるというのも意味不明…

なにより私は未喜の兄のキャラクターが受け入れられなかったです…

下手に年を取るとこういう本質とは関係ないところが気になりすぎて物語に集中できなくなるのは悲しい。

詩乃3

詩乃ルート…結末が分かっているため辛い展開が続きます。ですが詩乃と陸の物語からが本番です。

上記でも書いたのですが陸はひどいことするなぁ…と思いながら読んでいました。宝石の国にいそうな硬度が三半の主人公を彷彿とさせます。

プレイ時間は10~14時間くらいで読み切れます。

読了後は放心するって感じではなくじわじわとボディブローが効いてくるような作品でお勧めです。